天雅日記令和版 

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ちょいと法律屋 百式事件第二部 44、飛脚の不満

俺と否王弁護士のコントを無表情で聞き流す、偽予想GUY。

主張は無いと言いながら主張を続ける否王弁護士とは違い、こちらは一刻も早く和解を締結したいようである。

そこにインチキ占い師と風変わりな弁護士による、円卓法廷でのコントである。

何気なく首をめぐらすふりをして、飛脚側を見ると、俺の行動に予測が付かないようで明らかに戸惑いを隠せないでいる。
この偽予想GUYを除いてだが・・・。

やはり、前回まで登板していたコータリン弁護士の後任である。
経験が無いだけで、その実力は同等と見るほうが良いだろう。

俺のほうを見るとはなしに見、値踏みしているようにも見えるが、彼は俺がすべての訴状を作っているのに気付き始めているようである。

飛脚側の法廷代理人の意見は一言だけ
「意味が分からない」
と、言うものであり、恐らくはこの裁判の利益が、常識に照らしてみれば見えてこないのと、その請求金額の低さからくるコスト割れも考察した結果の意見であろう。

もう少し噛み砕いて言えば、飛脚にも違法行為が認められれば、理屈の上では損害賠償請求権が百式には発生するが、それだけで飛脚のような大企業を、一般人が弁護士も付けずに告訴することなどあるわけは無いのである。

普通は、あくまでも、否王が普通の企業なら、飛脚を巻き込むことは百式にとっては無駄にきつい戦いになるのである。

裁判の主旨のみに沿って考えれば、意味が分からないのも当然である。

ひとしきりコントが終わると、裁判の時間も終わる。
次の公判の日時を決めお開きとなったが、そそくさと出て行った被告側とエレベーターホールで鉢合わせとなる。

俺「喉渇いたからさ、なんか飲もうよ。こんな空気の悪いとこには、居たくねーしさw」
百(ぐったりと疲れながら)「はい」

余裕を見せて不適に笑いながら被告たちを見ると、みな一様にこちらを呆然と眺めていた視線を外す。

百式は計算間違いを直していなかったことをしきりに詫びたが、俺のコントで被告側は俺の話術と、原告側を簡単に黙らすことは無理だと痛感したはずである。

そしてなにより、被告たちの不仲も決定的になったようだし。

しかし、百式も見ていたが、飛脚側はこの和解提案を喜んでいたのに、それを味方の否王が潰そうとしているのには、ご不満だったようである。

んでも、まあしかたがないだろうよ。あんな会社を使っていた飛脚さんの落ち度なんだからさ。
飛脚さんには使用者責任を、きちんと果たしてもらわないとね。