天雅日記令和版 

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ちょいと法律屋 百式事件第二部 40、新しい地裁

多摩モノレールの操車場から南西に広がっている、米軍に戦後接収され、その後に返還された広大な海軍航空隊の基地の跡地。

この跡地を再開発し、今ではさまざまな公的施設が立ち並んでいる。

プールで有名な昭和記念公園もこの跡地の一角だが、基地の跡地を東西で二つに分けると、西側がこの昭和記念公園で、東側が多摩副都心を目指して開発中の、林立する公的施設郡。

そしてその一角に、このたび八王子から地裁が移設されたのである。

公判後も仕事なので、俺はバイクで地裁に向かった。
いったん帰宅する時間はさすがに無い。

早めに出社して、ゆるりと食堂で食事でもとるほうがよほど体にはいいはずだし、下手に帰って体を休めていたら余計に疲れが噴き出しそうなので、地裁からそのまま出社することにしているのである。

家からこの地裁まではバイクで10分も掛からないのだが、問題はその格好であろう。

俺のバイクはオフ車ベースのモタード系で、ステップはギザギザのスチール製なため、普通の靴で乗ると3日も経たずに靴底に穴が開く。
それゆえ、年季の入った薄汚れたオフロードブーツを履いている。

さらに下は、バイクに乗るときに動きやすいようにラフなオフホワイトのチノパンで、トップは先日のモトGPで購入した派手な青黒のバイク用のパーカーである。

どう考えても裁判を傍聴する格好ではないだろう。

まあ、そういうことになったのも、百式が日時を間違えたために有休申請が出来ないことが原因だったりする。

地裁の外の仮喫煙所で百式と落ち合う。
百式は当然のようにスーツ。今日はヒゲも剃ってきている。

法廷がどこなのかは知らされていないのと、公判前に出廷カードに記名するために民事第2部の入っている事務所に行く。
事務所は5階で、事務所の反対側のエレベータホールの向こうには大型の窓があり、すばらしい景色が広がっていたが、記名が先なので我慢する。

そこで初めて、今回の法廷は円卓であると担当書記官から告げられる。

円卓法廷というものは、和解が前提で使用されるものであり、双方からの主張が出尽くしたときに行くもので、否王側からのユニークで内容が薄い主張だけでは、話はまとまるわけは無いんですけども。

加えて、円卓では傍聴人席が無いから、俺は入室できないんですが・・・。

とりあえず、待合室に通される俺たち。
円卓のことを説明すると、百式も不審そうな顔を隠せない。
俺が同行しないのも不安だろうが、何より和解というものが納得できないようである。

5分後に、書記官に呼ばれ、先ほどの大型の窓がある広い待合室に通される。
入出できないなら仕方が無いと、最終打ち合わせをしていると、俺の入出どころか円卓への着席まで許可される。

6条ほどの広さにどでかいテーブルを無理に入れ、実際よりも手狭な印象のある円卓法廷に入って、その理由を理解する。
実質的に金額の決定権がある、飛脚さんの法務担当と思しき人も入室させたいので、俺の入室も許可されたんだろう。うん。

円卓にはすでに否王側の弁護士の電卓ジジイが着席している。
初めてここでこの弁護士の容姿を記すが、バンキシャに出てくる元東京地検特捜部の河上和雄弁護士が、酒の飲みすぎで体を壊したらこうなるんだろうなという外見である。
相変わらずの失礼な態度で、こちらのことなど見ようともしない。

そしてずらりと並んだ飛脚側の人間たち。
弁護士は若い30代のクセ毛を短く刈り込んだ、痩せ型の男性である。
見た目はソフトバンクの黒人のお兄ちゃん(ヨソウガイ)が日本人になった感じである。
このブログでは偽予想GUYと命名することにした。

「失礼しまーす」と挨拶する俺。
空気が悪いのは、相変わらずだが、いっせいに4人の視線が俺に突き刺さる。

後で知り合いの法律家に聞いたら、普通は挨拶なんてしないらしい。
周囲のにごりきった空気は無視し、円卓に百式と俺は着席した。