百式の手元には、今回の裁判のメインである、八ヶ岳への反対尋問の際に用いる質問状だけではなく、質問の中で、あるキーワードがゲットできたら、すぐにその矛盾点から予測される違法労働状態(偽装請負)が成立したことを指摘した文書(上申書)を、証言中に裁判長に手渡せるように仕込んである。 八ヶ岳の証言は、あまりにもウソが盛りだくさんなのだが、必要なウソ証言に関しての基本は予測どおりなので、あとは百式に手渡した質問状を百式が上から順に読み進むだけである。
イメージ的に、軽微なスピード違反を起こしたらフラグが立つような状態なのに、わざわざ80kmオーバーをしている感じでしょうか。
もうフラグ立ちまくりですよ。それも何本も、ガンガンと。
もうフラグ立ちまくりですよ。それも何本も、ガンガンと。
勝ちを確信して、百式を見ると、なにやらごそごそやっている。 今回は、きちんと必要な資料を先渡してあるんだが、よく見ればなんか資料がスゲー多いんですけども。 嫌な予感がしたが、予感を裏切り、訓練どおりに百式が反対尋問を行った。 反対尋問はなぜか順番とは違い、売上金の不足分に付いての報告を、飛脚便側の担当者から何回報告を受けたかというものだった。 これに対して八ヶ岳は、ごく初期にしか報告を受けていないと証言。 それも、百式からも、飛脚便からも。 責任者なのに、請負契約なのに、重大な事故だと思われる、売上金の不足が続出しているのに、報告を受けていないことを認めたのである。 勝ちを確信した俺。 思わず顔がほころびそうになるが、それを皮一枚下でとどめる。 続きの質問で八ヶ岳が撃墜されるのを想像し、百式の口から質問が続くのを待つ。
待つ。
待った。
あれ?
待った。
あれ?
えー!、おい!、ちょっと!、どうしたんだよ百式?