大多数のワーキングプアのたどるように、百式もグッドジョブ(仮名)などでの飛び込みの仕事を始めたが、不定期な日雇い仕事では、前職のような収入にはつながらない。
叔父は、恥を押して、下げたくない頭を下げ、やめざるを得なくなった会社の、別な事業所に再就職した。
それでも生活は楽にはならない。
祖母の入院費も安くは無いし、何よりも毎月の支払いがある。
祖母の入院費は、お互いに顔をあわせるのも嫌がるほど仲の悪いもう一人の叔父と同居の叔父とで話し合い、援助をしてくれることにはなった。
無論、分譲マンションの購入に対して痛烈な嫌味を言われたうえ、事業に失敗し姉を殺した(病死だがこの叔父を含め、百式の母親側は見殺しにしたと主張している)男の子供(百式のこと)の不甲斐なさをその理由にし、さらに百式の実父のための借金などにも苛烈な追求は続く。
だが、援助自体はうれしい。
それでも、毎月の支払いはそれほど変わらないため、百式はついに弁護士を介入させた任意整理を選択する。
そして、百式は、この失職を機に、すべてを失った。
タバコ代に事欠くどころか、グットジョブの仕事先までも片道分しか交通費が出せないことはざらであり、帰りは片道20kmを歩いたこともある。
携帯の契約も出来ないため、連絡はすべて公衆電話である。
この不毛な日々は、百式の感覚では半年ほども続いたと感じていたが、実際には2ヶ月ほどで終了し、ようやくレギュラー勤務に付くことが出来た。
その職場は家からも程近く、仕事も楽で、時給も高い。
そして、この職場での再会が、この事件の発端になるのである。
続きは明日。
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