予備校の模試を受けていると、何かニチャニチャと下品に飴をしゃぶるような音が聞こえる。
それが収まると、わざと椅子をギーギーいわせながら、小声とはいえぬほどの早口で話し続ける声が聞こえる。
鼻息の荒い呼吸音が聞こえ
「ふー、ふー!」
等と、合いの手を入れながら、さらにキチガイ風味な声音は途切れることが無い。
左後方からその声が聞こえ続けるので、工場から変なモノを呼び込んだのかとも考え、模試中なのに何気なく振り帰ると、そこには親元で50代までぬくぬくと育ってしまったかのようなファンタジーな生き物が試験を受けていた・・・・。
えーと、その俺が小学生の時に流行りきったような黒い合皮の筆バコはなんでしょう?
てか、そのフデバコ、擦り切れて表面の黒い合皮の部分がもう白いし・・・・。
その前に、試験中に水筒からお茶なんか飲んでちゃダメだろ、このクソおやじ・・・・。
なんつーか、昔懐かしのキャラでいうと、とんねるずの木梨が演じていた憲男にそっくりなんですが。
よく見ると確かにオヤジなんだが、模試中に盗み見た限りでは(本試験ならカンニングとみなされ答案を取り上げられるぐらいの勢い)、ヒキコモリ歴20年クラスの生き物にしか見えぬ。
模試中に、試験に集中できない俺もダメかもしれないが、模試中に悩みながら奇声を小声で発し続け、体を前後に揺さぶりながら悩みぬき、それが終るとお茶飲んで口をゆすいでニチャニチャ音を立てるヤツが間近に居れば、試験に集中できなくても当然だと思うんですけれども。ええ。
3時間の予定の試験を速攻で終らせて、荷物はそのままにして試験会場を一旦後にし、グランデュオの上階でゆっくりと食事を楽しみ、1時間後の解説を聞くために席に戻ると、まだヤツは居た・・・・。
えーと、普通は、模試が終ると外に出て、一服してから帰ってくるのに、このキチガイってば、まさかここでずっと座っていたんでしょうか・・・・。
試験の解説が始まると、普通はみな「行政書士試験六法」で条文を確認するものなのだが、このオヤジってば、意味なく分厚い模範六法で条文を引いている・・・・。
さらに、無駄に条文が多いのが模範六法なので、解説の早さには当然に付いて行けず、遅れが生じるとまた例の
「フー、フー!」とキショイ呼吸音を発しながら、体を前後に大きくくねらせていく。
加えて、このオヤジが分からなかった問題などは、問題自体を早口で言い募り、念仏のように唱えるので、解説でもなかなか集中できないのがきついんですけども。
コントなら、こういうヤツがいれば面白いんでしょうが、素で間近に居られると殺意まで加速するものだと、初めて痛感しました。
ホント、考えたく無いけど、試験落ちたら、こいつのせいだわ。
まいっちんぐ。